近年、
ゾーン系指標の算出は技術的に高度であるため、個人での算出はほぼ不可能であり、数値に潜むバイアスやノイズは解析者さえも把握しきれないブラックボックス状態となっている。
一方で、
本記事では、一球速報から得られるデータに着目し、測定ノイズを最大限に抑えたレンジ指標的守備評価を行い、その測定精度と有用性についてゾーン系指標と比較ながら検討を行なったので紹介する。
【概要】
今回は、一球速報で記録される"セカンドゴロ"や"
計算方法は、責任範囲に飛んできた打球のアウト獲得率を集計し、平均的な野手よりも獲得できたアウト数を計算する。内野手はゴロ処理、
本記事で使用するデータは独自に集計したものであり、公式記録とズレがあることをご承知いただきたい。
【Step.1 守備責任打球の定義】
まず、各守備位置に対して "守備責任打球" (Resposible Batted Balls, RBB)を定義する。
守備責任打球とは、
守備責任範囲を設定することで、

【Step.2 安打責任率の定義】
ゴロアウトや内野安打は100%一野手の責任となるが、野手の間を抜く左前ヒットゴロや右中間ヒットフライは一定の責任分配が発生する。この責任分配の比率を安打責任率(Hit Responsibility Ratio, HRR%)として定義する。
例えば、一二塁間を抜く右前ヒットゴロの場合、二塁手と一塁手の両者に責任が生じることとなるが、その責任割合は必ずしも1:1ではない。
2019年NPBの一二塁間方向の総ゴロアウト数は6594で、このうち一塁手が処理したゴロアウトは2187、二塁手が4407であった。二塁手のゴロアウトはさらに中堅方向と右翼方向に分類され、このうち中堅方向は一二塁間の打球と関係ないものとして除外する。今回、中堅方向のゴロアウトは全ゴロアウトの50%と仮定して計算を進める。
よって、一塁手のアウト奪取率は2187/(2187+4407*0.5)≒45%、二塁手が4407*0.5/(2187+4407*0.5)≒55%と求められ、二塁手は一塁手よりも約1.2倍多くアウトを獲得している計算となる。今回、アウトを多く獲得しているということはそれだけ安打を許した時の責任も大きいと仮定し、アウト奪取率をそのまま安打責任率として使用する。Table.

※2021/04/04 追記:ゴロ打球をレフト方向、センター方向、ライト方向に分割し、HRR%を見直した。



最後にそのほかの守備指標の決定係数をTable3にまとめる。最終的にUZRの決定係数は0.4~0.8を示した。
Table.3 各種守備指標の決定係数(DELTA vs 本指標)
※DPRの算出方法は「デルタ・ベースボール・リポート4,テーブルスコアを活用した疑似UZRの遊撃手評価」を参照しています。
※ARMの算出方法は下記リンクを参照しています。
http://archive.baseball-lab.jp/column_detail/&blog_id=7&id=19
http://archive.baseball-lab.jp/column_detail/&blog_id=7&id=20
【本指標の有用性について】
今回の検証により1年分の一球速報データから算出した個人RngRは、従来のレンジ指標と比べて精度が大幅に向上していることがわかった。
本手法により得られるRngRは、レンジ系指標の長所である"客観性の高さ"を可能な限り維持しつつ、短所である"大きなランダムノイズ"を低減しており、UZRシステムにはない特性をもった指標として十分有用ではないかと考える。