ぼーの の日記

セイバーメトリクスとか

【PbyP解析】外野手GG賞 2021

今回は外野手編です。右翼手部門、中堅手部門、左翼手部門をまとめて紹介します。評価項目は「守備範囲」、「肩力」。ノミネート選手は各球団の守備イニングが一番多かった選手です。

守備範囲評価(RngR)

過去の分析より外野手RngRの測定精度は遊撃手や二塁手よりもやや低いことがわかっている。これを踏まえたうえでデータを見ていただきたい。

守備責任打球は以下の通り設定した。なお、一球速報ではフライ性単打とライナー性単打を区別できないため、平均的な比率(フライ性55%、ライナー性45%)を用いてフライ性ヒット数を推定し、ライナー性ヒットは守備責任外としてを計算から除外している。

左翼手の守備責任打球
左フライアウト、レフト前ヒット、左中間ヒット、左二・三塁打、左中間二・三塁打、左フライエラー

中堅手の守備責任打球
中フライアウト、センター前ヒット、左中間ヒット、右中間ヒット、左中間二・三塁打、中二・三塁打、右中間二・三塁打、中フライエラー

右翼手の守備責任打球
右フライアウト、ライト前ヒット、右中間ヒット、右二・三塁打、右中間二・三塁打、右フライエラー

 

Table.1にリーグ全体の守備責任打球数とアウト獲得率を示す。今年は例年よりも全体的にアウト率が高かったようである。

Table.1 リーグ全体の守備責任打球とアウト獲得率
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続いて各選手のアウト%と、そこから算出した守備範囲得点(RngR)をTable.2に示す。

左翼手では荻野が+14.6でトップ。レギュラー定着2年目の佐野は-31.7と非常に大きなマイナスを記録しており、昨年の-3.8から大きく数字を落としている。守備指標から選手の実力を測るには3年分のデータ程度必要と言われているが、佐野の守備力が平均以下であることはほぼ決定的だろう。

中堅手では+7.0で淺間がトップとなった。打撃面でも開花しつつあり、来年楽しみな選手の一人。全体を見るとほとんど選手が ±5.0 以内に収まっており、レベル差はそれほど大きくないことがうかがえる。

右翼手は鈴木がトップ。ほぼ毎年プラスを記録しており、安定した守備成績を残している。全体としては、外国人二人が大きなマイナスを記録してるが、それ以外の選手はかなり拮抗している。


Table.2 2021年外野手 守備範囲評価

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肩力評価(ARM)

以下に示す4つの進塁状況について、走者の余剰進塁確率、進塁自重確率、走塁死確率を集計し、平均と比較することで外野手の肩評価を行った。

進塁状況
1.走者一塁時の単打(二塁走者がいる場合を除く)
2.走者二塁時の単打
3.走者一塁時の二塁打
4.走者三塁時の外野フライ(二死時除く)

 

リーグ平均をTable.3に示す。打球方向やアウトカウントによって進塁確率が変動する。

Table.3  19-21年の平均進塁確率
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外野手の肩評価(ARM)結果をTable.4に示す。表右3列はARMを「進塁抑止」、「走塁刺」、「犠飛阻止」に分解した数値を示している。

左翼手トップは西川の+4.5。センターとしてのARM値は平均レベル*1なので、左翼手中堅手には一定のレベル差があると思われる。

中堅手は野間がトップ。近本はルーキーイヤーの+8.3をピークに年々低下し、今年ついにマイナスに転じた。ARMは単年単位で大きく振れやすいため、実際に肩力が低下したかどうかは判断が難しいが、UZRの年齢曲線*2を考えると、27歳はちょうどピークであり、大きな衰えはないとみるのが自然だろう。

右翼手トップは鈴木の+6.8で、進塁抑止と犠飛阻止で得点を稼いでいる。今年ブレイクの杉本は走塁刺得点を伸ばし、上位につけている。多くの補殺を獲得できた要因として、(映像等は確認していないため想像にはなるが、)レギュラー定着一年目でデータが少なく、少々強引な走塁が多かったことが挙げられるのかもしれない。

(どうでもいいですが、外野3ポジションを広島勢が独占していますね。)

Table.4 2021年外野手 肩評価
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総合評価(TZR)

総合評価をTable.5に示す。

Table.5 2021年外野手 総合評価
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*1:ARM 21年:-0.3、20年:-0.7、19年:-0.1

*2:NPB守備指標(UZR)の年齢曲線|Namiki|note