ぼーの の日記

セイバーメトリクスとか

【PbyP解析】遊撃手GG賞 2022

昨年に引き続き、今年もやります。一球速報解析による守備評価です。各球団の守備イニングの一番多かった選手を対象に評価を行いました。

守備範囲評価(RngR)

*RngRの評価方法についてはこちらの記事を参照ください。

まずはNPB成績。2022年のアウト獲得率は73.0%となっており、2019年から年々減少傾向にある。考えられる要因としては、選手の守備レベルの低下や打球速度の増加などが挙げられるが、はっきりしたことは不明だ。

Table.1 遊撃手のNPB平均アウト獲得率

 

選手の評価結果をTable.2に示す。今年ブレイクしたヤクルト 長岡が+9.3を記録し、トップに立った。昨年、ファームでは少ない守備機会ながら RngR +2.4 を記録するなど、その片鱗をみせていたが、それが一軍の舞台で大きく開花する形となった。

惜しくも2位となった中日 土田は、ノミネート選手の中で2番目に少ない守備機会での成績であり、最もポテンシャルを秘めた選手だ。実はファームではその高い守備力をすでに発揮しており、21年のRngRは+7.9 と他の選手を大きく突き放し、圧倒的な数字を記録していた。ファームの実績から言えば、今年の好成績はそれほど不思議ではだろう。Table.3には打球方向別のRngRを示しているが、三遊間方向のプラスが大きく、西武 源田と似た傾向が見られる。来季はさらに出場機会が増えることが見込まれ、どのような活躍をみせるか楽しみな選手だ。

広島の小園は昨年の -12.4 から -1.7 に大きく改善した。 打球方向別にみると、昨年同様、三遊間方向の打球処理に苦戦していたが、昨年の -13.4 と比べれば大きな成長だ。歴史的にみれば-10以上の大きなマイナス記録した選手の守備力がプラスに転じることは稀*1だが、年齢的にはまだまだ成長できる余地があり、今後の成長に期待したい。

Table.2 2022年遊撃手 RngR


Table.3 22年遊撃手 打球方向別RngR

 

併殺奪取評価(DPR)

*DPRの評価方法についてはこちらを参照ください。

Table.4に遊撃手のNPB全体の併殺成功率を示す。成功率は例年通りの数字となった。

Table.4 遊撃手のNPB平均併殺成功率

 

Table.5に選手のDPRを示す。ほとんどの選手が±2.0に収まっており、優劣がほとんど出ない結果となった。そんななか突出した数字を残した長岡は、併殺機会が多い中で高い成功率を維持し、プラスを大きく伸ばした。Table.6には役割別のDPRを示しているが、どちらもバランスよくプラスを稼いでいることがわかる。

昨年-5.8でNPB最下位だった中野は数字を大きく伸ばし、プラスに転じている。この大幅増は、もちろん本人のスキル向上もあるが、DPRは運や状況などに左右されやすく不安定な指標であることを頭に入れておきたい。

Table.5 22年遊撃手 DPR

Table.6 22年遊撃手 役割別DPR

 

失策抑止評価(ErrR)

最後に失策抑止評価。Table.7に選手のErrRと失策内容別に分解した結果を示す。

広い守備範囲を見せていた中日 土田は悪送球がやや多かったようだ。三遊間方向の打球を積極的に処理していた(Table.3)ことを考えると仕方ないとも思えるが、源田クラスのプレイヤーを目指すなら克服したいところだ。

ルーキーの上川畑は安定感のある守備を見せ、特に安定したスローイングが光っていた。

Table.7 22年遊撃手 ErrR


総合評価(TZR)

総合評価をTable.8に示す。トップは+15.2でヤクルト 長岡となった。すべての項目で高い水準を見せ、総合力の高さを見せた。

パリーグは源田一強の時代が続いている。来年で30歳を迎え、衰えが始まる年齢に差し掛かっているが、現状、源田を脅かす存在はおらず、この状況はまだまだ続きそうだ。

Table.8 22年遊撃手 TZR