ぼーの の日記

セイバーメトリクスとか

守備評価のリーグ内ゼロサム化について

これまで守備評価はNPB全体の平均を基準としていたため、セ・リーグとパ・リーグの守備力の差は、そのまま評価に反映されていた。

表1に7月10日時点におけるセ・リーグとパ・リーグのポジション別TZRを示す。3B以外のポジションでパ・リーグがセ・リーグを上回っており、リーグ間に明確な差がみられる。特にレフトではその差が大きく、DH制度の有無が大きく影響していると考えられる。

 

表1 ポジション別リーグTZR(2026年NPB、2026/7/10終了時点)

 

このリーグ間の差は守備WARにもそのまま反映されるため、セ・リーグの守備WARは概ねマイナス、パ・リーグの守備WARは概ねプラスとなる傾向があった。

一方、勝利数(WAR)の配分は(交流戦を除けば)各リーグ内で完結しており、リーグ間の差までWAR評価に持ち込むことは適切ではないと考えられる。打撃や投球の評価は既にこの考え方に基づいている一方、守備のみが例外となっていたため、今回これを是正する。

是正は比較的簡便な方法で行う。表1のポジション別TZRのリーグ間の差がゼロとなるよう、各選手の守備機会に応じて是正値を配分する。

守備機会は、捕手については守備イニング、それ以外のポジションについては守備責任打球(詳細についてはこちらを参照)を用いる。

例えば、セ・リーグのレフトの場合、TZRは-34.8なので、この値がゼロとなるよう、+34.8をセ・リーグの各左翼手に配分する。細川成也選手であれば、守備機会が206であるため、配分値は

34.8 / 1310 × 206 = 5.5

(分母の1310はセ・リーグレフト全体の守備機会)

となる。なお、この配分値は「lg adj.」という項目として扱うこととする。

なお、TZR自体の算出方法は従来どおりNPB全体の平均を基準として変更しない。今回新たに「lg adj.」という項を導入し、守備得点(Feilding)に加えることで、守備WARがリーグ内ゼロサムとなるよう調整を行う。

NPB Basementへは7月中に実装予定。実装後、あらためてアナウンスする。
2026/07/16 実装 & X にてアナウンス済み

投手のポジション補正

以下3つの条件をもとに先発と救援のポジション補正値を求める。

1)先発投手のtRAがlgtRAに対してa倍、救援投手のtRAがlgtRAに対してb倍とする。
2)リーグ総投球回のうち、先発投手が占める割合をA、救援投手をBとする。
3)DELTAの分析より先発投手と救援投手のtRA差は0.85とする。

リーグの平均的な投手が先発した時のtRA ( lgsptRA ) は

lgsptRA = ( a × lgtRA ) × A + ( b × ltRA + 0.85 ) × B

             = ( a × A × lgtRA + b × B × lgtRA ) + 0.85B

ここで a × A × lgtRA + b × B × lgtRA はlgtRAと等しくなるので

lgsptRA = lgtRA + 0.85B

先発投手のRSAAは

RSAA = ( lgsptRA - tRA )/9 × IP

          = (  lgtRA + 0.85B - tRA )/9 × IP

          = ( lgtRA - tRA )/9 × IP + 0.85B/9×IP

したがって、この「+0.85B/9」を1イニングあたりのポジション補正値としてみなすことができる。 

救援投手についても同様に計算してみる。

リーグの平均的な投手が救援した時のtRA ( lgrptRA ) は

lgrptRA = ( a × lgtRA - 0.85 ) × A + ( b × ltRA ) × B

             =  ( a × A × lgtRA + b × B × lgtRA ) - 0.85A

ここで a × A × lgtRA + b × B × lgtRA はlgtRAと等しい。

lgrptRA = lgtRA - 0.85A

救援投手のRSAAは

RSAA = ( lgrptRA - tRA )/9 × IP

          = (  lgtRA - 0.85A - tRA )/9 × IP

          = ( lgtRA - tRA )/9 × IP  - 0.85A/9×IP

したがって、この「-0.85A/9」を1イニングあたりのポジション補正値としてみなすことができる。

まとめると

先発投手のポジション補正値(100イニングあたり)

→ +9.4 B

救援投手のポジション補正値(100イニングあたり)

→ -9.4 A

A = 0.65、B = 0.35 とすれば

先発投手のポジション補正値(100イニングあたり)

→ +3.3

救援投手のポジション補正値(100イニングあたり)

→ -6.1 

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