当ブログで公開している Expected Pitch Value (xPV) の算出方法について簡単に解説する。
Pitch Valueとは
DELTAのGlossaryによれば、Pitch Value (PV)は以下のように定義されている。
カウント別の得点期待値(アウトカウント/走者状況/ストライクカウント/ボールカウント)を基に、投手が投じた球種が、どの様な結果を積み重ね、失点を減少(あるいは増加)させたかを見た値。
PVは、その球種の「失点抑止量」を定量化したものであるが、そこには運やバックの守備力、球場影響など投手の責任範囲外の様々な要素が含まれている。そのため、真の実力を推定するにはやや不向きな指標となっている。
これに対し、当ブログで算出しているExpected PV (xPV) は投手の責任範囲外の要素を可能な限り排除しており、真の実力の推定に長けた指標となっている。実際、PVの年度間相関は0.15に対し、xPVは0.50であり、一貫性の高い指標となっている。*1
計算方法と得点価値の設定
今回、xPVの計算で考慮する投球イベントは「ストライク投球(Strike)」、「ボール投球(Ball)」、「ゴロ被打球(GB)」、「内野フライ被打球(IFFB)」、「フライ・ライナー被打球(FLB)」の5つとした。
計算方法についてはこちらで丁寧に解説されているので、参照いただきたい。
カウント別wOBAはTable.1の通り。投手の打席や犠打は集計から除外している。
Table.1 カウント別wOBA(19-21年)
インプレー打球のwOBAはTable.2の通り。FLBのwOBAにはリーグの平均的なライナー率、本塁打率が織りこまれている。IFFBのwOBAは、失策出塁を考慮すると0にならないが、今回は0として近似する。
Table.2 インプレー打球とwOBA(19-21年)
その他 計算における前提
1)投手の打席は計算から除外する。
2)2ストライクからのファウルは投球数に含めるが、得点価値は0とする。
3)犠打は計算から除外するが、バント失敗はゴロアウトとしてカウントする。
※バントの空振り・ファウルはストライクとして集計する。
4)各投球イベントの得点価値は常に平均的な得点環境に基づく。
※実際はマウンドにいる投手の能力によって得点環境が変動するが、当計算ではこれを考慮しない。