ぼーの の日記

セイバーメトリクスとか

【PbyP解析】一・三塁手GG賞 2021

今回は一・三塁手編です。評価項目は「守備範囲」、「併殺奪取」、「失策抑止」です。ノミネート選手は各球団の守備イニングの一番多かった選手です。

なお、守備範囲評価について、過去の分析より評価精度が低いことがわかっており、数値は参考程度に見ていただければと思います。

守備範囲評価(RngR)

守備責任打球数とそのアウト獲得率から守備範囲評価を行う。一塁手三塁手の守備責任打球の定義は以下の通り。

一塁手の守備責任打球
一ゴロアウト、一内野安打、一二塁間ヒットゴロ、一塁線ヒットゴロ、一塁線二・三塁打、一ゴロエラー

三塁手の守備責任打球
三ゴロアウト、三内野安打、三遊間ヒットゴロ、三塁線ヒットゴロ、三塁線二・三塁打、三ゴロエラー

 

Table.1に一・三塁手のリーグ全体の守備責任打球とアウト獲得率を示す。一塁手のアウト%は毎年76%前後。三塁手は72~77%の間で大きく振れており、全ポジションの中で最も変動が大きかった。外国人の加入やコンバートで選手の入れ替わりが激しいといったことが影響として考えられる。一塁手も入れ替わりが激しいポジションだが、守備技術がそれほど要求されないため、アウト%が安定していると思われる。

Table.1 一・三塁手のリーグ守備責任打球とアウト%
f:id:bo-no05:20211204205700p:plain

 

各選手のアウト%を集計し、守備範囲得点(RngR)を算出した結果をTable.2に示す。

一塁手トップの鈴木は+3.3を記録し、ユーティリティープレイヤーとして守備力の高さを見せた。ビシエドはもともと一塁守備に長けた選手であるが*1、今年は-5.1と精彩を欠いた。来季で33歳となり、加齢による衰えをある程度覚悟する必要があるだろう。

三塁手トップは茂木となり、+13.0を記録した。遊撃手としても平均以上の守備を見せていたが*2、今年はサードの守備に専念し、その高い守備力を遺憾なく発揮した。高橋は19年+5.8、20年-0.7、21年-9.3と年々低下しており、守備力低下の兆候が見られる。運による下振れの可能性もあり、来年以降の動向に注目したい。マイナスが最も大きかったのは今年ブレイクした林の-14.5で、守備力の低さが露呈した。年齢は21歳と若く、まだ成長の余地を残しているが、将来的には一塁へのコンバートも視野に入れる必要があるだろう。

 

Table.2 2021年一・三塁手 守備範囲評価
f:id:bo-no05:20211206131244p:plain

 

 

併殺奪取評価(DPR)

併殺評価の考え方は前回の記事で紹介した。Table.3に一・三塁手のリーグ併殺成功率を示す。一塁手の併殺成功率は2割強であり、全ポジションの中で最も低い。

Table.3 一・三塁手のリーグ併殺成功率

f:id:bo-no05:20211206161351p:plain

 

各選手の併殺成功率と併殺奪取得点(DPR)をTable.4に示す。一・三塁手二塁手や遊撃手と比べて併殺機会が少ないため、評価に差が生まれにくい傾向にあるが、三塁手の茂木、宮崎はひとつ抜けた数値を記録した。宮崎はほぼ毎年プラスを記録しており、併殺プレーに長けた選手であると言ってもよいだろう。

Table.4 2021年一・三塁手 併殺奪取評価
f:id:bo-no05:20211206161927p:plain

 

 

総合評価(TZR)

総合評価をTable.5に示す。Errは失策抑止得点。

一塁手は僅差で鈴木がトップ。ワーストの坂倉は守備範囲こそ平均レベルだが、失策が非常に多かった。守備機会を重ねて慣れていけば、改善していくだろう。

三塁手トップの茂木は+18.7と二位以下を圧倒した。ワーストの林は-16.6でこちらもダントツ。打撃は素晴らしいものを持っているので、守備とどう折り合いをつけるかが今後のカギとなる。

Table.5 2021年一・三塁手 総合評価
f:id:bo-no05:20211206164409p:plain

 

*1:ビシエド 1B 20年RngR:-1.8、19年RngR:+1.6

*2:茂木 SS 20年RngR:+2.0、19年RngR:+3.6