ぼーの の日記

セイバーメトリクスとか

Bリーグにおけるピタゴラス勝率

ピタゴラス勝率とは、チームの得点と失点から見込まれる勝率を計算する式であり、Fig.1のような計算式で求められる。

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Fig.1 ピタゴラス勝率の計算式

セイバーメトリクスでは非常に有名な式であるが、これは野球に限らず、得失点で争うスポーツであればどのスポーツにも適用できる。スポーツによってピタゴラス指数δは異なるが、基本的な式の形は同じである。今回は、バスケットボールにおけるピタゴラス勝率について調査した。

Bリーグにおけるピタゴラス勝率】

Bリーグ2016-2019シーズンのデータ(勝率、得点、失点)を用いてピタゴラス勝率式にfitting*1を行い、ピタゴラス指数δを決定した。Fig.2は実際のチーム勝率とピタゴラス式により予測された勝率をプロットしたグラフである。決定係数は0.99以上であり、良好な予測精度を得た。

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Fig.2 チーム勝率とピタゴラス予測

このときδ=10.1であり、Bリーグにおけるピタゴラス式は以下の通り。

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 Bリーグにおけるチームの平均年間得点(失点)は4604点である。これをピタゴラス式に当てはめると勝率は .500 となるが、ここで得点の項に30点加算するとピタゴラス勝率は0.016ポイント上昇し、Bリーグの年間試合数60試合に換算すると約1勝分に相当する。したがって、Bリーグにおける1勝の得点価値は約30点であると推定される。*2

スポーツの統計分析において、得点と勝利の換算は最も基礎的な知見であり、選手の貢献度を測るうえで欠かせない情報である。今回、なじみの少ないバスケの統計分析を行うにあたり、手始めとしてピタゴラス勝率の調査から着手した。 

*1:fitting手法として最小二乗法を用いた。

*2:ちなみに野球ではδ=1.8、10点 per 1勝 である